眠れない夜に

　波が押し寄せています。大きな波も、小さな波もあちらこちらから。

　その波に吞み込まれないようにと願いながら、かわすすべを知らない私は茫然と立ち尽くしているのです。

　そのうちに海の泡となって消えていくのでしょうか。

　夜が恐怖であった太古の昔の生き物のように、闇のなかで目をこらしています。

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